Bluetoothとは?

 In 無線化基礎知識

Bluetoothとは?

Bluetoothは近年、世界中で普及している代表的な近距離無線通信技術のひとつです。
ここではBluetoothの特長をご説明します。Bluetoothは近距離無線通信技術のひとつです。もともとはエリクソン社の社内プロジェクトとして開発がスタートされました。その後、1998年に通信/コンピュータ業界の大手5社(IBM・インテル・エリクソン・東芝・ノキア)によってBluetooth SIGが設立され、現在に至ります。今では世界中で30,000を超える企業がBluetooth SIGに登録しており、全世界で約82億台のBluetooth製品が出荷されています(2017年10月現在)。

Bluetoothロゴ

Bluetoothの主な特長

世界統一規格

Bluetoothは全世界で共通仕様となっており、免許不要で利用できる2.4~2.485GHzの産業科学医療用帯(ISMバンド)で動作します。世界統一規格であるため、世界中どこの国でも同じ規格で無線通信を利用することができます。

干渉に強い

Bluetoothが干渉に強いのは周波数ホッピングとAFH機能のおかげ

Bluetoothは2.4GHzの広帯域(2402~2480MHz)の中、1MHzごとに79個のチャネルを設定しています。Bluetoothは周波数ホッピング方式(FHSS:Frequency Hopping Spread Spectrum)を採用しており、毎秒1600回のチャネル切り替えを行いながら通信をしています。この周波数ホッピングによって周囲に干渉の原因となり得るデバイスが存在していても、その影響を極力少なくすることができます。

さらに、Bluetoothバージョン1.2から採用されたAFH(Adaptive Frequency Hopping)機能によって無線LAN、コードレス電話、電子レンジなどBluetoothと同じ2.4GHz帯を共有するデバイスが周囲で一定の周波数を占有していても、それらのデバイスが使用している周波数を自動的に避け、自身は同じ帯域内で空いている周波数を使用することで安定した通信を確保します。このAFH機能のおかげで、Bluetoothは他の無線規格より比較的干渉に強いと言われており、また、周囲のデバイスへ与える影響も少ないことから、今後医療現場など干渉の影響を避けたい環境での導入が期待されています。

通信距離

電波強度によって3つのClassに分類

Bluetoothには電波強度の上限を規定したClassという概念があり、各Bluetooth製品は電波強度の上限によって3つのClassに分けられます。ひとえにBluetooth製品といっても認定されているClassによって有効範囲(通信距離)が異なります。

Class1・・・100mW(およそ100m程度)
Class2・・・2.5mW(およそ10m程度)
Class3・・・1mW(およそ1m程度)

※上記通信距離は目安の数値です。製品や通信環境により、通信距離は増減します。

同じClassでも製品によって電波強度は異なる

同じClassの製品であっても、製品ごとに電波強度の上限は異なるため、通信距離が異なる場合があります。例えば、電波強度の上限が5mWの製品も30mWの製品も、BluetoothのClass上は同じClass1に分類されますが、出力に違いがある分、通信距離も変わってくると考えられます。

電波強度は国と地域によっても異なる

国や地域によっても、無線通信で使用できる電波強度の上限が異なります。Class1の上限は100mWとなっていますが、日本の電波法では50mW程度までしか出せませんので、日本国内で利用できるClass1製品は100mW出せるわけではありません。

最大1対7接続(ピコネット)

最大1対7まで同時接続させることが可能です。この機能はピコネットと呼ばれます。
※同時接続できる台数は最大7台までですが、接続相手機器を切り替えていくことで、8台以上のスレーブ機器と通信させることも可能です(仮想1対多接続)。

数多くのパソコンやスマートフォン、タブレットに標準搭載

数多くのBluetooth搭載製品をシステム構築に流用できる
→ハードウェア開発のコストと時間を短縮できる!

Bluetoothは近年飛躍的に搭載製品が増えており、今ではスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末や、ノートパソコンには標準搭載されているのが当たり前となりました。その他にも、Bluetoothが搭載されている関連周辺機器も珍しいものではなくなっています。

Bluetoothを利用する大きなメリットのひとつとして、数多くのBluetooth搭載製品をそのままシステム構築に流用できる点が挙げられます。

例えば、「スマートフォンをリモコン代わりとして装置を操作する」「装置で取得したデータをタブレットやパソコンへ転送し閲覧する」など、自社製品の通信相手としてBluetooth搭載製品を利用することで、通信相手機器のハードウェアを開発する手間が省け、システム構築のコスト負担、工数負担軽減に大きく貢献します。

Bluetooth搭載デバイス

プロファイル

Bluetoothには通信用途に応じて定められた「プロファイル」というプロトコル(通信手順)が規定されています。このプロファイルによって、各社、各デバイス間の相互接続性が確保され、また既存有線通信の置き換えが可能となるため、自社製品のワイヤレス化を容易なものにしています。

代表的なプロファイル SPP・A2DP・AVRCP・HFP・HSP・HID etc

シリアルケーブルの無線化が容易

BluetoothはSPP(シリアルポートプロファイル)というシリアル通信(RS232C)を無線に置き換えるための専用プロファイルが用意されており、シリアルケーブルの置き換えであれば、ケーブルをBluetoothモジュールに置き換えるだけで容易にBluetooth化させることができます。

この場合、無線に関する知識がなくとも、無線通信に関する処理は全てBluetoothモジュールが行いますので、ユーザーは無線通信であることをあまり意識する必要がなく、あたかもシリアルケーブルを使って通信しているのと同じようなマイコン処理でデータ通信を行うことができます。(UART / 仮想COMポート通信)

堅牢なセキュリティ

128bit暗号化やPINコード認証、Bluetooth v2.1から導入されたセキュアシンプルペアリング(SSP)などのセキュリティ機能が組み込まれている上、周波数ホッピングにより毎秒1600回チャネル切り替えを行っていることから、データを傍受することは非常に困難とされています。

低消費電力

3つの省電力モード(ホールドモード、スニフモード、パークモード)により、省電力を実現しています。さらに、現在はBluetooth4.0から導入された「Bluetooth Low Energy(BLE)」という新しい通信方式によってさらなる省電力化を実現しています。

指向性がない

指向性がないことから、遮蔽物があっても通信することが可能です。通信するデバイス同士の位置関係をさほど考慮する必要がないため、ユーザーの利便性を向上させています。

通信費が不要

Bluetooth通信は一切通信費がかかりません。

Bluetooth SIGとは?

Bluetooth SIG(Special Interest Group)は株式非公開の非営利な事業者団体です。SIG自体がBluetooth製品の製作や販売を行うことはなく、SIGに加盟登録している30,000社を超える「メンバー」により、製品開発、および販売が行われています。

メンバー制度

Bluetooth SIGには「プロモーター(Promoter)」「アソシエート(Associate)」「アダプター(Adopter)」という3段階のメンバーシップがあります。

プロモーターはBluetoothSIGの理事と位置付けられ、プロモーターによってBluetooth無線技術の戦略的、且つ技術的開発が行われています。全てのメンバーはBluetooth仕様とロゴマークを利用できますが、アソシエートメンバーであれば、仕様書が一般公開される前にコア仕様やプロファイル仕様の改善作業に参加することができ、またリスティング(Bluetooth製品として登録すること)時の費用が割引きになる等の特典があります。ただし、アソシエートメンバーは年間総収入に応じた年間使用料を支払う必要があります。アダプターメンバーは無料です。

Bluetooth製品登録(EPL登録 / End Product Listing)について

wb_006Bluetoothは、メーカー、機器の種類を問わず相互接続できることを目指しており、そのための仕組みとして製品登録(EPL登録)を義務付けています。EPL登録とは、End Product Listing の呼称で、自社製品を登録することを「リスティングする」と言われることがあります。

Bluetoothの今後について

現在、急速に搭載台数が増加し、着実に発展してきているBluetoothですが、ユーザーにとってより一層魅力的な無線規格へと進化を遂げようとしています。特にお客様からご要望の多い、「医療現場への導入」「低消費電力化」「高速化」に関しては、気になる情報が続々とSIGから発表されています。

医療機器への適用

お客様からお問い合わせが多いご質問の一つに「医療現場」でのBluetooth利用が挙げられます。非常にデリケートな場所での無線利用となりますので、「安全性はどうなの?」と、安全面が気になるのは当然だと思います。

Bluetoothは周波数ホッピングやAFH機能により、比較的干渉に強く、また周辺機器へ与える影響が少ない無線規格といわれています。医療現場での無線導入は着々と調査が行われており、今後導入件数が増加していくと予想されます。 干渉に強いBluetoothが、その選択肢の一つとなることは間違いありません。海外では既にBluetooth技術を搭載した医療機器が増えつつあるようです。薬事法取得に時間がかかるため、日本ではまだあまり例がありませんが、これから海外同様増えていくことが予想されます。また、Bluetooth SIGでは新たに医療機器向けの専用プロファイルHDP(Health Devices Profile)を仕様策定しており、 実際にHDP搭載ヘルスケア機器もいくつか発表されています。

弊社のZEALシリーズも医療機器で採用いただいた事例がございます。
医療・産業用機器でのBluetooth搭載事例紹介(堀場製作所様)

超低電力Bluetooth(Bluetooth Low Energy)

Bluetooth SIGは2007年6月、フィンランドのNokia社が開発した低消費電力無線通信技術「Wibree」をBluetoothの一部として統合すると発表し、 後に超低電力版BluetoothとしてBluetooth Low Energyを発表しました。

Bluetooth Low Energyはボタン電池1つで10年駆動が可能とも言われており、これまで電池寿命の観点から見送られがちであった腕時計や小型リモコンといった小型端末への導入が期待されています。そして2008年4月、ついに英CSR社によってBluetooth Low Energy対応チップセットが披露されました。記事によると、通信デモでは無線接続時の消費電力が従来の1/10を実現しており、且つデータ伝送速度は50倍という値を示したと紹介されています。

Bluetooth3.0

Bluetooth SIGは2006年3月、Bluetoothの高速化を目指し、近距離向け高速無線通信技術UWB(Ultra Wide Band)の標準化団体である「WiMedia Alliance」の技術を採用すると発表しています。UWBは最大数GHzにわたる非常に広い帯域に、弱い電波で、極短い時間のパルス上の信号を送ることで、近距離での高速データ通信を可能とします。その通信速度は最大480Mbpsとも言われ、その上、低消費電力を実現し、干渉にも強いと言われています。 BluetoothはUWBの技術を用いることで、例えばストリーミングが可能となるような高速通信の実現を目指しています。

また、UWB技術の実装に先駆けて、Bluetooth SIGは2008年2月、無線LANの標準規格IEEE802.11の技術を組み合わせた新しいBluetooth技術「Alternate MAC/PHY」を発表しました。これがBluetooth3.0です。 IEEE802.11を用いることにより、Bluetooth対応機器間の通信速度を向上させることが狙いです。 Bluetooth SIGは「差し当たり、より高速な伝送を必要とするデバイスに対して、既に広く利用されている技術であるIEEE802.11の使用を決めた」とコメントしています。

Bluetooth3.0は、より高速通信が必要となるシチュエーションでは接続をIEEE802.11に切り替えることで通信速度を高め、高速通信が必要なくなった時点で通常のBluetooth無線に戻ることで、消費電力や性能が最適化できるようになっています。

※これらの情報は全て2009年2月現在のものとなります。

まとめ

  • Bluetoothは全世界で利用されている代表的な近距離無線のひとつです。
  • 現在、スマートフォンやモバイル端末をはじめとして、多くのデバイスに搭載されています。
  • シリアルケーブル(RS232C)を容易に無線化することができます。
  • Bluetooth SIGにメンバー登録することで、ロゴマークが使用できるようになります。
  • 干渉に強く、周辺環境への影響が小さいことから医療現場での導入が期待されています。
  • Bluetooth Low Energyの登場で、より小型な端末への搭載が可能になり、さらなる飛躍が期待されています。

この記事を書いた人

無線化.comカスタマーサポート担当 清水芳貴
無線化.comカスタマーサポート担当 清水芳貴
Bluetooth業界に足を踏み入れてから早10年。
初心者がイチから学んだ知識とノウハウを、初心者の方でもわかりやすいようにお伝えすることを心がけています。