組込み用Bluetoothモジュール選びのポイント

 In 無線化基礎知識

Bluetooth製品はどれでもつながるわけではありません

製品選びを失敗しないためにも確認すべき選定のポイントを抑えておきましょう。

ひとえにBluetoothモジュールといっても、用途に応じた様々なモジュールがあり、数あるBluetoothモジュールの中から検討中の用途に合ったモジュールを選ぶ必要があります。

組込み用BluetoothモジュールZEALシリーズ

必ず確認すべきポイント

選定ポイントはいくつかありますが、必ず確認すべきポイントがあります。選ぼうとしているBluetoothモジュールが使用用途の条件を満たしているのかどうか、事前に確認しておくことが重要です。

搭載プロファイル

Bluetoothモジュールを選択する上で最も重要と言えるのが搭載プロファイルの確認です。
Bluetoothは通信用途に応じて通信仕様を規定した「プロファイル」というものがあります。例えば、シリアル通信の置き換えであればSPP(Serial Port Profile)、携帯電話やPHSをモデム代わりに使うのであればDUN(Dial-up Networking Profile)、音声通信であればHSP(Headset Profile)HFP(Hands-Free Profile)、オーディオのような音楽通信の場合はA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)など、 実現したい無線用途に応じて必要となるプロファイルが決まります。

各Bluetooth製品はそれぞれの製品によって搭載されているプロファイルが異なります。プロファイルが一致しなければ通信させることができないため、そのモジュールに搭載されているプロファイルは何か、使用したいプロファイルが搭載されているのかどうか、必ず事前に確認してください。

例えば・・・

BluetoothデバイスA: SPP DUN
BluetoothデバイスB: HSP HFP A2DP AVRCP SPP

上記2つのデバイス間で通信可能なのはSPPのみということになり、他のプロファイルは相手機器が搭載していないため使用できないということになります。

国内電波法(技術基準適合証明)の有無

技術基準適合証明(旧TELEC認証)の取得有無も重要なポイントです。日本国内で電波を発する製品を利用するためには技術基準適合証明の取得が必須ですが、取得済みのモジュールを組み込む場合には、最終製品としての再認証は必要ありません。

一方、認証を取得していない無線モジュールを組み込む場合は、最終製品として認証を取得しなければなりません。認証取得には費用と工数がかかりますので、モジュールとしての認証有無は非常に重要なポイントです。

もし未認証の無線機器を使用した場合、法令に則って処罰の対象となる場合があります。これは製品化の場合に限らず、公の場で電波を発する場合には試作段階でも認証が必要となります

自社取得とどっちが安上がり?

少量多品種の場合には認証済みモジュールがお得

1つの製品(モデル)である程度の出荷台数が望める場合、手間はかかりますが、自社で取得したほうが結果的に安上がりになる場合があります(1製品あたり何台出荷しても取得費用は同じ)。
逆に製品1モデルごとの出荷台数が望めない場合、つまりに少量多品種の場合は、製品ごとに認証を取得しなければならないため、コスト負担が非常に大きくなります。少量多品種の場合には認証済みモジュールのご利用をおすすめいたします。

各Bluetoothモジュールを比較の際に判断材料となるポイント

単価・イニシャル費用・ライセンス費用

言うまでもなく製品単価はとても重要なポイントです。基本的に製品単価は安いに越したことはありません。しかし、製品によってはモジュール単価以外にもイニシャル費用やライセンス費用が必要となったり、最小ロットが設定されている場合もあります。また、海外製の安価なモジュールの場合、日本の電波法が取得されておらず、利用にあたっては別途電波法の取得費用がかかってしまうケースもあります。モジュール単価以外にも必要な費用は無いか、トータルで必要になるコストをあらかじめ確認しておきましょう。

Bluetooth認証

自社製品としてBluetooth機器を販売するためには、Bluetooth認証の製品登録が必要です。

Bluetooth認証済みモジュールといっても注意が必要

Bluetooth認証には「End Product」「Component」「Subsystem」という3種類の取得方法があり、それぞれ最終製品に組み込んだ際の扱いが異なります。

「End Product」であれば製品登録が容易になります。しかし「Component」は『部品』という扱いとなるため、最終製品として改めて「End Product」のBluetooth認証試験が必要となる場合があります

一方、少し特殊なのが「Subsystem」で、代表的な例がUSBドングル型のBluetoothアダプタです。一般的なUSBドングルは、その筐体の中にはRFの部分しか入っておらず、製品にドライバ部分は搭載されていないため、それ単体ではBluetoothとしての機能を果たせません。ドライバ部分を別途PCにインストールすることではじめてBluetoothとしての機能を満たします。USBドングルが非常に安価なのは大量生産品であることも一因ですが、「ドライバ」が含まれていないという点も大きな要因の一つと言えます。

通信距離

Bluetoothには電波強度を規定したClassという概念があり、3つのClassに分類されます。
同じBluetooth製品でも認定されているClassによって有効範囲(通信距離)が異なります。

Class 最大出力 想定される通信距離
Class1 100mW およそ100m程度
Class2 2.5mW およそ10m程度
Class3 1mW およそ1m程度

このとき、「大は小を兼ねる」という考えでどんな場合でもClass1製品が良いという訳ではありません。遠くへ飛ばせるということはそれだけ電波出力が大きくなる場合があるため、消費電力も大きくなりがちです。(※補足)また、周辺機器へ与える影響が大きくなる可能性もあります。希望の通信距離に合わせたClassを選ぶことが重要です。

Bluetoothはチップ間が自動で相互通信を行っており、そのときの通信距離に合わせた適当な出力で通信を行うよう自動調整しているため、Class1機器は常に最大出力で通信している訳ではありません。Class1機器でも遠距離通信時に比べると、近距離での通信はさほど消費電力が大きくならない場合があります。

モジュールサイズ・スペック

Bluetoothは規格で縛られている分、ある程度同じようなスペックになりがちですが、それでも各製品によってスペックの違いは現れます。消費電力、スループット、モジュールサイズなど、検討中の無線化用途を実現するのに十分なスペックであるかどうか確認してください。

アプリケーションの使いやすさ・ドキュメント・サポート

無線をはじめて扱う場合など、無線に詳しくない段階での開発ではドキュメントの豊富さや、十分なサポートが得られるかどうかも選ぶポイントとなります。無線化を実現できなければ元も子もありませんので、しっかり最後まで無線化を実現できる環境整備が重要です。

まとめ

  • 搭載プロファイルは必ず確認しましょう。双方のデバイスに同じプロファイルが搭載されていなければ、通信させることができません。
  • 電波法の有無も必ず確認しましょう。小ロットの場合には認証済みモジュールを利用しないとコスト負担が大きくなってしまいます。
  • その他、価格・Bluetooth認証の有無・対応Class・モジュールサイズ・サポート面など、総合的に要件にマッチするモジュールを選びましょう。

この記事を書いた人

無線化.comカスタマーサポート担当 清水芳貴
無線化.comカスタマーサポート担当 清水芳貴
Bluetooth業界に足を踏み入れてから早10年。
初心者がイチから学んだ知識とノウハウを、初心者の方でもわかりやすいようにお伝えすることを心がけています。