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海外へBluetooth製品を出荷するためには何が必要でしょうか?
自社で開発したBluetooth製品を海外で利用するためにはどうすれば良いですか?
ここ最近、開発したBluetooth機器を海外へ出荷したいというお問い合わせが増えています。電波法取得済みBluetoothモジュールを組み込んでいる場合、日本国内で利用する分には電波法を意識しなくて良いため、海外へ出荷する場合も「最終製品で何もしなくて良い」と考えているエンジニアが非常に多いです。しかしながら、実際は「最終製品での手続きが不可欠」な場合がほとんどであり、「最終製品での海外認証取得」が避けては通れないハードルとして立ちはだかります。
ここでは自社で開発したBluetooth製品を海外で利用するためにはどうすればよいのか、その点について解説していきます。
認証や電波法は改定に伴い、ルールが変更される場合があります。予めご了承ください。
電波法は無線機器を利用したい国ごとに取得する必要があります
ここで例え話をします。例えばクルマを運転したい場合、自動車運転免許が必要ですね。教習所に免許を取りに行って、取得できればクルマを運転できるようになります。このとき、日本国内で免許を取得したとして、海外でもクルマを運転できるでしょうか?
そうです、日本の免許では海外でクルマを運転することはできないのです(国際免許などは除く)。もし海外でもクルマを運転したければ、その国ごとの免許を取得する必要があります。
無線の認証も同じです。無線機器を利用したい国ごとに認証取得が必要になります。もし5カ国で利用したければ5つ、20カ国で利用したければ20カ国分の認証を取得しなければなりません。
電波法は国ごとに定められているルールが異なります
電波法は国の法律で定められています。よって国ごとに電波法の内容も異なります。出力可能な電波強度の上限や使用できる周波数、取得費用や取得期間も様々です。取得した認証の有効期間が定められているところもあります。
その中でも特に重要なのが「最終製品での認証取得(再認証)が必要かどうか」という点です。
認証・電波法は3つのタイプに分類
認証・電波法は大きく3つのタイプに分類できます。
最終製品での認証取得が不要
組み込んだ無線モジュールが認証を取得していれば、最終製品での届出が不要という一番ラクなタイプです。代表的な例が日本です。日本の電波法(技術基準適合証明・工事設計認証)は無線モジュール単体で最終製品としての認証取得が可能なため、ZEALシリーズのような「認証済みBluetoothモジュール」が可能となります。
最終製品として認証取得が必要だが、モジュール単体での無線テストレポートが利用可能
必ず最終製品(自社製品)での申請が必要となりますが、無線モジュール単体で行った無線試験のテストレポートを流用することができるタイプです。代表的な例がヨーロッパやアメリカ、カナダ、韓国などです。
最終製品での無線試験が必要
最終製品単体での無線試験が必要という一番大変なパターンです。中国がこのタイプに該当します。
代表的な国・地域の認証概要
代表的な国・地域ごとの認証概要を示します。これらの情報は当社が各認証機関や関係各所から独自に得た情報に基づいており、お問い合わせ先の認証機関やご担当者によって見解・回答が異なる場合があります。正式な情報は必ず認証機関へご確認ください。
特に認証に関する費用は
- 代行先の認証機関(手数料等が異なるため)
- 使用する無線規格(周波数帯)
- 製品のカテゴリー(どのような類の製品なのか?)
- 為替(現地通貨で支払う場合あり)
等によっても異なりますのでご注意ください。
アメリカ / カナダ(北米)
国(地域) | アメリカ / カナダ |
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管轄機関・規格 | FCC / IC |
モジュール単体取得 | 可(最終製品としてOK) |
取得費用 | 100〜150万円程度 |
取得期間 | 3〜6週間程度 |
メモ | 日本と同じで無線モジュール単体で最終製品としての取得が可能。製品に組み込んだ場合は筐体やマニュアルへロゴ貼付が必要。 |
ヨーロッパ・欧州
国(地域) | ヨーロッパ・欧州(EU加盟国) |
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管轄機関・規格 | CEマーキング(R&TTE指令) |
モジュール単体取得 | R&TTEは無線モジュール単体で試験できるが、自己宣言するためには最終製品で他の適合試験が必要。 |
取得費用 | 100〜200万円程度 |
取得期間 | 3〜6週間程度 |
メモ | EU加盟国内で無線装置を扱うためにはEU指令に適合しているという自己宣言が必要(CEマーキング)。EU指令の中にはいくつかのカテゴリーがあり、無線試験はR&TTEと呼ばれる。R&TTEの試験結果(レポート)はヨーロッパだけではなく、世界各地の認証試験で流用できる場合がある。 |
中国
国(地域) | 中国 |
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管轄機関・規格 | SRRC |
モジュール単体取得 | 不可 |
取得費用 | 60〜130万円程度 |
取得期間 | 12〜15週間程度 |
メモ | 製品のカテゴリーによってはCCCが必要な場合もある。CCCの費用は別途100万円程度。 |
韓国
国(地域) | 韓国 |
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管轄機関・規格 | KCマーク(旧KCC) |
モジュール単体取得 | RF試験のみ可 |
取得費用 | 60〜80万円程度 |
取得期間 | 4〜6週間程度 |
メモ | 必ず最終製品での認可が必要。ただし、RF試験済みの無線モジュールを組み込んだ場合にはRF試験は免除となる。別途EMCが必要となる場合あり。 |
ロシア
国(地域) | ロシア |
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管轄機関・規格 | minsvyaz(RF) |
モジュール単体取得 | 可(都度確認が必要) |
取得費用 | 50〜70万円程度 |
取得期間 | 8週間程度 |
メモ | 規制が頻繁に変わるため、基本的に都度確認が必要。製品カテゴリーによって別途EMC関連のGOST-Rが必要になる場合がほとんど(40〜60万円程度)。R&TTE/FCCレポートが流用可能。 |
オーストラリア
国(地域) | オーストラリア |
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管轄機関・規格 | ACMA |
モジュール単体取得 | 可(条件付き・都度確認が必要) |
取得費用 | 10〜15万円程度 |
取得期間 | 4週間程度 |
メモ | 製品カテゴリーによって試験などが異なるため、基本的には都度確認が必要。R&TTE/FCCレポートが流用できる場合も。 |
インド
国(地域) | インド |
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管轄機関・規格 | Ministry of Communications |
モジュール単体取得 | 不可(最終製品での認証が必須) |
取得費用 | 30〜50万円程度 |
取得期間 | 4〜6週間程度 |
メモ | 規定上「販売する製品には認証が必要」とされています。よって使用目的次第では認証が不要な可能性があります。2.4GHz帯には免除規定あり。ただし、当局への都度確認と輸入許可申請が必要。R&TTE/FCCレポートの流用可。 |